(36) Concert by the Sea (1955) / Erroll Garner

Concert By the Sea

Concert By the Sea

エロール・ガーナーのピアノは、リズムを刻む強烈な左手と、もたれぎみの右手のフレージングを評して、「ビハインド・ザ・ビート」と呼ばれるそうだが、今回久しぶりにこのアルバムを聴いて、そんなに極端に「ビハインド」しているわけじゃないな、と思う。それよりも、ガーナーのピアノを評するなら、左手と右手が縦横に交差し、ブロック・コード、トレモロ、オクターブ奏法etc...様々なテクニックを駆使して演出する実にゴージャスなエンタテインメント・サウンドということに尽きるだろう。


バド・パウエルに始まるバップからハード・バップのピアノのスタイルは、ひたすらホーンライクな右手を追求していった感があるが、ガーナーのピアノを聴いていると、ピアノという楽器の本来の使用法というのはこういったオーケストラルな奏法にあることを今さらながら思い出すのだ。
芸能ピアノといってバカにするなかれ、だ。
現代のジャズ・ピアノ・シーンはいまだにパウエルとエヴァンスの影を引きずりながら動いているが、今の若いピアニストがこのガーナーのピアノを聴いてどう感じるか、聞いてみたい気がする。案外ユニークなピアノ・スタイルを築くヒントになるんじゃないだろうか?*1


50年代の100枚リスト

*1:と思ったら、ダン・ニマーというピアニストなんかが、かなりガーナーを意識したスタイルで弾いているようだ。僕は聴いたことないが・・・