(23) Jimmy Giuffre (1954)/ Jimmy Giuffre

ジミー・ジュフリー

ジミー・ジュフリー

ウディ・ハーマン楽団のセカンド・ハード(1947年〜)は別名フォー・ブラザーズ・バンドとも呼ばれ、スタン・ゲッツズート・シムズ、ハービー・スチュワード(後にアル・コーン)、サージ・チャーロフのサックス4兄弟?が一世を風靡したのだった。この4人のアンサンブルやソロをフューチャーしたその名も「フォー・ブラザーズ」という曲を書いたのが、当時のハーマン・バンドのアレンジャー、ジミー・ジュフリーだった。


ジミー・ジュフリーというと、あの『真夏の夜のジャズ [DVD]』の初っ端に映っていた、テナー(ジュフリー)、ギター(ジム・ホール)、バルブ・トロンボーン(ボブ・ブルックマイヤー)という変則ユニットでの演奏や、のちのポール・ブレイらとのフリー・フォームに傾倒した演奏など、”スウィングしない西海岸ジャズ”の代表格というイメージが強いが、こんなスウィンギーなナンバーも書いてるんだ、ということで、「フォー・ブラザーズ」を自演しているこのアルバムを選んでみた。
昔は、超弩級のレア・アルバム(LP)だったが、最近は紙ジャケット盤(限定盤)のCDが日本でも発売されたので、運がよければすぐ手に入る(今は無在庫状態かも?)。


さて、このアルバムは、バド・シャンク、ジャック・シェルドン、ショーティー・ロジャース、ラス・フリーマン、シェリー・マン等を加えた3つのセッションが収録されているが、多才なマルチ・リード・プレイヤーだったジュフリーは、このアルバムでもクラリネット、テナー、バリトンを吹きわけている。ジュフリーのプレイそのものは西海岸的なクールな奏法の典型で、可もなく不可もなしという感じだが、なんといってもアレンジが面白い。これもある意味西海岸の典型的なアレンジで、ジェリー・マリガンやショーティー・ロジャースのサウンドの親戚だが、ジュフリーのこの頃のパターンは、いわゆるコレクティヴ・インプロヴィゼーションを多用して、楽器間の微妙なコンビネーションを強調している。
ジャケットの英文解説は"Chamber Jazz"と評しているが、ピアノレスの④"A Ring-Tail Monkey"などを聴くと、ジャック・シェルドンのラッパがちょっとチェット・ベイカー風だし、ジェリー・マリガンのオリジナル・カルテットの手法を、もっと室内楽的な対位法的な感覚で処理した、っていう感じがする。
コレクティヴ・インプロヴィゼーション(集団即興)といっても、おそらく楽器同士の掛け合いのタイミングは綿密にアレンジされたもので、やはりジュフリーは編曲人間だ、とわかる。

パーソネルが名人ぞろいなので、思ったほど実験臭さは出ていなくて、僕は結構楽しめたが、こういった演奏を頭デッカチの退屈な演奏と取るか、多彩なアレンジや掛け合いを楽しめるかは、趣味の問題だ・・・。


50年代の100枚リスト