マーク・マーフィー Mark Murphy

たまにはヴォーカルの話でもしようか、とふと思い出したのがマーク・マーフィー。
この人、いわゆるmusician's musicianというか、玄人受けする歌手で、一般の人気はもう一つなんじゃないかと思う。
最近どうしてるかな?と思ったら、ティル・ブレナー(ドイツのトランペッター&ヴォーカリスト。端正なマスクと甘いヴォーカルで結構人気がある。現代版チェット・ベイカー。)と組んでワンス・トゥ・エヴリー・ハートという渋いアルバムを出したりして、まだまだ現役のようだ。

僕的には、昔LPでよく聞いた『This could be the Start of Something』 (Capitol, 1958) というアルバムが好きだったが、もうCDでは手に入らないようだから、日本では名盤の誉れ高い『Rah』(Riverside, 1961)を紹介する。

Rah

Rah

アーニー・ウィルキンスのアレンジによるバック・バンドには、クラーク・テリーブルー・ミッチェル、ジミー・クリーヴランドらのラッパや、ピアノではビル・エヴァンスウィントン・ケリーの二人が参加して、スウィング調からモード調まで曲目に合わせた雰囲気をきちんと出している。
LP版で言えば、A面では主にスタンダードやバラードを渋く歌い、B面ではカウント・ベイシーからマイルス、コルトレーンまでインスト・チューンのいわゆる「ボカリーズ」で圧倒的なテクニックを披露する。「Milestones」の絶妙な表現等、ちょっと鼻につくぐらいの「巧さ」が、嫌いな人は嫌いだろう(^o^;
「My Favorite Things」では、元歌の「好きなもの」のあとに、マークの好きなジャズ・ミュージシャン達を羅列して替え歌にしている。


John Colttane talkin' Miles and Gil blowin'
Mulligan's walkin' the Hi-Lows high lowin'
Ray Charles and Basie and Garner with strings
These are a few of my favorite things


アニタ・オデイなんかがよくやる趣向だが、嵌ると楽しさ倍増だ。