ブリット

さて、先週BS2でやっていた刑事モノ4連荘、全部録画しておいたのだが、折悪しく風邪と中耳炎で頭の中がグワングワンして映画など見る状態でなかったが、今日やっと1本だけ見た。
ブリット スペシャル・エディション [DVD]

まだ、耳が片方よく聞こえないので、ラロ・シフリンの絶妙なサントラを十分楽しむことはできなかったが、久しぶりに見るマックィーンはやはり渋くてかっこよかった。
敵役のロバート・ボーン扮する上院議員は、今時見るとちょっと戯画的でアリガチっぽいが、これに対するスティーブ・マックィーンの演技はあくまでクールでニヒル。無駄な会話をとことん削って、寡黙さの中に刑事たちの執念や焦燥や哀愁を淡々と描出する。

有名なサンフランシスコの坂道でのカーチェイスは、もちろんスタントなしのマックィーンのぶっつけ本番。このごろのハードなカー・アクションに比べると何だかテンポがかったるいように感じるかもしれないが、坂道で車の腹をガツッって擦る音はオモチャじゃない本物の重量感。空回りするタイヤからもうもうと出る煙が、ゴムの臭いがするほどリアルだ。

昨今のアクションものの映画に失われたのは、このアナログなテンポとリアリティーだなぁ、って思う。