1956年

このところ、クリフォード・ブラウンの『スタディー・イン・ブラウン』や『アット・ベイズン・ストリート』、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』、マイルス・デイヴィスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』やマラソン・セッションの4部作のことを書いてきたが、実はこれらは皆1956年の録音である。56年というのは、僕が生まれた年であることを別としても(^o^;、ジャズにとってはすごい年だ。名盤の宝庫といっていい。


50年代のジャズを語る時、「チャーリー・パーカーの呪縛」などという言葉をマコトシヤカに囁く人がいるが、それはあながち幻想とばかりは言えない。
パーカーの追従者たちは、50年代の初頭にはかなりのレヴェルでパーカー流のスーパー・テクニックやビ・バップ=モダン・ジャズのコンセプトをマスターしていた。けれど、54年頃まではパーカーを凌駕するような決定的な快演は出ていない、と言っていい。それが、55年3月のパーカーの死を境にして、堰を切ったようにジャズ史に残るような名演が続出する。
56年の名演を幾つかランダムにあげてみる。
(ブラウニー、ロリンズ、マイルスは除く)


直立猿人チャールズ・ミンガス
ブリリアント・コーナーズセロニアス・モンク
グランド・エンカウンタージョン・ルイス
アート・ペッパー・カルテットアート・ペッパー
4,5&6ジャッキー・マクリーン
カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハムケニー・ドーハム
フォンテーヌブロータッド・ダメロン
フォンテッサ(M.J.Q)
ジャズ・フォー・ザ・キャリッジ・トレード(ジョージ・ウォーリントン)
バード・ブロウズ・オン・ビーコン・ヒルドナルド・バード


そのほかにも、ビル・エヴァンスセシル・テイラーリー・モーガンジョニー・グリフィンケニー・バレル等の数年後のビッグネームが初リーダー作を録音している・・・ってな具合だ。


それにしても、今思い出したが、「パーカーの呪縛」の最大の犠牲者はソニー・スティットだったかもしれない。余りにパーカーに酷似したプレイ・スタイルでイミテイターとして冷遇され、テナーを吹いてお茶を濁していたスティットだったが、パーカーの死後、55年にはペン・オブ・クインシー、56年には『ソニー・スティット・プレイズ』という名盤をモノにした。

ソニー・スティット・プレイズ

ソニー・スティット・プレイズ

このアルバムでソニー・スティットは、アルトの第一人者としての面目を施したが、ホントふっ切れたようにワンホーンで思う存分屈託なく(?)ブロウしている。とはいえ、やはりパーカー・フレーズ乱発だが・・・(^o^;